定期考査を手軽に,効果の高い学習教材にする!
 第1回 〜意欲を引き出し 力を伸ばす~

授業改善・コラム
スポンサーリンク

みなさんこんにちは,はなまるです。

今回は定期考査の有効活用についてお話ししようと思います。

職員室にいるといろいろな先生がいろいろな工夫をこらして定期考査を作ってらっしゃるのをよく見ます。

テスト作成までには,早い人で2,3時間,長いと6時間近くかけている人もいます。

そして私はなまるはと言うと,はじめは毎回6時間近くかけて作成していましたが,最近は大体3,4時間です。

これからお話する内容を実践することで,ローコストに良い問題が作れるようになったからです。

作問も大変ですが,教員の皆さんが苦労するのは採点作業もですよね!

私も1学年全体を教えることが多いので,学年生徒280枚の答案を採点することが基本です。しかも私は記述問題が好きという厄介な癖を持っているため,記述採点の苦労を自ら増やしてしまいます…泣

テストづくりも大変。テストの採点はもっと大変。

そこで思うのですが,それだけ苦労して行っている定期考査,ただ漫然と作って・採点して・返して,それで終わりにしていませんか?

私は定期考査は教材として活用する価値が大いにあるといつも考えています。

そして作問のときに少しの工夫を加えることで,大きな効果を生むと考えています。

今回はその理由についてお話していきたいと思います。

テストは生徒が主体的に取り組む貴重な機会

定期考査は多くの学校において,成績に直結する成績材料です。

それは生徒の方はよくわかっていて,定期考査で点数を取るために,やりたくもない大量暗記をしますし,数学の解答丸暗記なんてこともやってのけます。

それの是非はここでは置いておきますが,それだけ生徒にとって定期考査で点数を取ることはウエイトの大きい作業目標になっているということです。これを利用しない手はないです!

課題を出しても,主体的に自分でしっかりと解いて,なおかつ見直し復習までして提出する生徒は決して多くありません。そもそも提出に間に合わない,提出する気がない子もいますし,多くは締め切りに間に合うように体裁を整えて形だけ出すような子なのではないかと思います。

そしてそれを見て,そんなんじゃ力はつかない!と嘆く教員も多いわけですが,それは彼らのモチベーションが上がらない状況の中で,そのような課題を出す教員側の問題でもあるわけです。

  課題の在り方についても言いたいことはたくさんあるのですが,ここでは触れずまたの機会に…

一方で課題と違い,定期考査は成績に占める割合も大きいですから,生徒も無視するわけにはいきません。やりたくなくても,勉強が嫌でも,最低限のことはやってくることが多いですよね。

なのでこの心理をつき,テストで点を取るための学習=学力向上につながる学習,になるように仕組んであげることで,彼らの学習意欲と実力の向上を目指す工夫を考えていましょう!

テストの問題を問題集と同じにしない

まずお聞きしたのですが,試験づくりをするとき,生徒が持っている問題集と同じ問題を出題していませんか?

そのように作るのはとても簡単ですが,せっかく作った試験が問題集の焼き増しになってしまうので,テストを教材として活用する際には×です

そんなテストだと,採点されて返ってきたら自宅でポイっと捨てられているかもしれません。

しかも,問題集と同じということは暗記すれば点数が取れてしまうわけで,それは生徒の力はきちちんと測れませんし,そもそも力が付きません。

では自作の問題を作るのか? もちろん多少は作りますが,しかしそれですべてを賄うのはいくらなんでも大変ですよね? 試験作成時間が6時間じゃきかないかもしれません。

問題集の類題を,異なる問題集からとってくるのも手ですが,そうすると彼らが手持ちの問題集に熱心に取り組むことをやめてしまう可能性があります。

作る労力を考えても,彼らのモチベーションを維持するためにも,

くまでベースは生徒に使用させている問題集から,がいいと思います。

今回私がオススメするのは,いつも生徒に使用させている問題集を改変して出題することです。

なんだそれだけ?と思うかもしれませんが,実はうまく改変すると,テストの質はもちろん,生徒の問題集の取り組み方すら変えられるんですよ!

効果の上がるように問題に改変を加える,というとすごく大変そうな気がすると思いますが,ここではほんとうに簡単にできる工夫を4つ紹介したいと思います。


① 問題集にある設問とその解答,これを逆さにして出題する。

一番簡単にできる工夫はコレです! 問題集の問題と答えをひっくり返します!

たとえばこんな具合です。

Q.細胞内でDNAを持っている細胞小器官を答えよ

A.細胞核,ミトコンドリア,葉緑体

これを逆にしてみるとこうです。

Q.細胞核,ミトコンドリア,葉緑体に共通する性質を答えよ。

A.DNAを持っていること(別解:異質二重膜をもつこと)

このようにひっくり返す問題を出題することで,生徒の単純暗記が減ってきます。Qに対してのAを暗記しても点数にならないわけですから,問題を解きながら,

「これは逆のことを聞かれるかもな。逆にしたらどんな問題になるんだろう」

こんなことを生徒が考えるようになります。

この時点で解答者のマインドから出題者のマインドに変わるわけです。生徒が作問するわけではないですが,この小さなマインドの変化が学習の深化にはとても大切です。

英単語を覚えるときに,英単語→和訳 だけをやっている子は英語の総合力はつきません。

その逆,日本語→英単語の力も身に着けてはじめてその単語を習得したということになるのと似ているメカニズムですね。

この倒置変換は生徒に刺激を与えるうえでも極めてオススメですので是非チャレンジしてみてください!


② 選択肢問題の選択肢文章を一部分だけ変える。

選択肢問題は気軽にはQとAを変えられませんよね。

そこでやってしまいがちなのは問題の選択肢番号だけ入れ替えて出題するパターンです。

しかし生徒の記憶力は大したもので,一言一句覚えていなくても「たしかこれが答えの選択肢だったなぁ」と断片的な記憶から呼び起こして正答できてしまうんです。

なのでそこを逆手にとって,選択肢のほとんどの文はそのままで,決定的な部分だけをいじるというやり方をやってみましょう。

実際の問題集を使うわけにはいかないので,ここではセンター試験「生物基礎」を例にしてみましょう。例えばこんな問題があります。

エネルギーと代謝に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 光合成では,光エネルギーを用いて,窒素と二酸化炭素から有機物が合成される。

② 酵素は,生体内で行われる代謝において,生体触媒として作用する炭水化物である。

③ 同化は,外界から取り入れた物質を,生命活動に必要な物質などに合成する反応である。

④ 呼吸では,酸素を用いて有機物を分解し,放出されるエネルギーでATPからADPが合成される。

平成31年度 センター試験「生物基礎」より  ※下線ははなまるが引いたもの

正答は③です。①,②,④は下線の部分が誤っています。

選択肢番号を入れ替えたところで,生徒は文章の雰囲気をなんとな~くで記憶してますから,同化に関する記述が答えだな,で答えられてしまうわけですね。

そこで手を抜かせるとこの問題のおいしい部分が廃棄されてしまいます。MOTTAINAI!

そこで私ならこうしてみます!

エネルギーと代謝に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 異化は,外界から取り入れた物質を,生命活動に必要な物質などに合成する反応である。

② 呼吸では,酸素を用いて有機物を分解し,放出されるエネルギーでATPからADPが合成される。

③ 酵素は,生体内で行われる代謝において,生体触媒として作用する炭水化物である。

④ 光合成では,光エネルギーを用いて,と二酸化炭素から有機物が合成される。

答えだったはずの同化が消えました笑  しかももともと同化だった文章が①に来てます。

これで,見覚えがあるはずの問題が,急に初見らしくなりますね。

そして答えは元①の文章を正しくして④に変更。途中で気を抜けなくしてみました。

変更点は赤くした2か所。それと順番入れ替え。

たったこれだけですが,元の問題をしっかり取り組んでないと解けない問題に様変わりしました

もう少し手を込ませるなら,「正しいものを選べ」から「誤っているものを選べ」にして,元の問題の誤っている部分をいくつか変更するのも楽しいですね。

結構この「できそうでできない」「見覚えがあるのに間違える」というのは生徒にしたら悔しいようで,一度悔しい思いをした生徒は問題集から得られる知識や情報をこれまで以上に大切にするようになりますよ。

【教科書や問題集をしゃぶりつくす】が私のモットーでもあります。


③ 選択肢問題を使って空欄補充問題を作る。

空欄補充問題は0から作ると結構大変です。またどこからか文章を持ってくるにしても,生徒の持っている問題集の中にそう都合よく使える文章がなかったりします。

そんなときは選択肢問題をうまく活用します。

例えばさきほどのこの問題。

エネルギーと代謝に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 光合成では,光エネルギーを用いて,窒素と二酸化炭素から有機物が合成される。

② 酵素は,生体内で行われる代謝において,生体触媒として作用する炭水化物である。

③ 同化は,外界から取り入れた物質を,生命活動に必要な物質などに合成する反応である。

④ 呼吸では,酸素を用いて有機物を分解し,放出されるエネルギーでATPからADPが合成される。

平成31年度 センター試験「生物基礎」より  ※下線ははなまるが引いたもの

これの誤答を正しい文章に直してつなげていくだけでも結構いい文章になりますよ。

サクッとやってしまいましょうか。

同化は,外界から取り入れた物質を,生命活動に必要な物質などに合成する反応である。代表例として,光合成では,光エネルギーを用いて,水と二酸化炭素から有機物が合成される。それに対して異化は,複雑な物質を単純な物質に物質に分解する反応である。その代表として呼吸では,酸素を用いて有機物を分解し,放出されるエネルギーでADPからATPが合成される。このように生体内で行われる化学反応全体を代謝という。酵素は,代謝において生体触媒として作用するタンパク質でる。

いかがでしょうか? そこそこの長さをもつ文章が簡単にできてしまいましたね?

これを問いたい部分を穴抜きにしてやれば,空欄補充問題の完成です。

少し不慣れなうちは,空欄で抜くところは元の文章にあった「重要語の部分」や「誤っている部分」を重点的に抜くと,ポイントを押さえて抜くことができます。

この方法も,生徒は見覚えがあるものがベースなので,対抗心がメラメラとさせられますね。


④ 語群を消す

空欄補充問題にありがちな語群。これを消してしまうのも一つです。

語群から選ぶという作業と,何もないところから語を連想するということは,脳のはたらきが全く異なります。

当然選ぶ作業より,語群なしの状態で解答するほうが脳は活発にはたらきます。

語群を消すだけで,生徒は問題集の語群の言葉をしっかり意識するようになります。

これはシンプルな方法のわりに結構良い結果を生んでくれますね。

難点は採点が少し大変になります笑

漢字のミスや,空欄に入れても意味が通るほかの語句の意識をしてなくてはなりませんから…


手軽にできる問題集の改編,いかがだったでしょうか?

忙殺されている中で0から問題を作るのはしんどいですよね。

なのでついつい問題集の問題を出しがちなのですが,そこにほんの少しの手間を加えるだけで,問題の幅がグンと広がりますし,しかも生徒の試験勉強の効率にもよい効果をもたらします。

この工夫をするようになってから,生徒からの質問も増えましたし,よい質問をする生徒も増えたように思います。意欲的になっている証拠だと思います。

また生徒のやるべきことも,問題集を従来以上にしっかりやること,だけですので「テスト対策をどうすればいいかわからない」「テスト勉強したのに点数にならない」なんていう愚痴も起きにくいです。

学力の高い学校でしたら,教員の出題傾向から対策してきますから何も言わなくても気づいてくれることが多いですが,私の勤務校ではそうはいきません。なので日々,

「問題集をどのようにいじってテストに出題するか,そしてその問題をどうやって得点するか」

メッセージとして伝えています。テスト返却時には,解答の時間より作問コンセプトの方が話が長いことがあります。これは少し反省ですが…。

学校の実態に合わせ,ぜひ活用していただけたら嬉しいです。


次回は,もう少し手が込んだ工夫の仕方を取り上げようと思います。

私が実際に取り組んでいる方法で,生徒の記述力の向上のための工夫です。

記述問題にしっかり取り組めるようにすると,生徒の学力はさらにもう1段階UPします!

いま話題の新テスト,どうなるかわかりませんが,記述ができるに越したことはありません。

大学入試問題は依然として記述なんですから!

ということで,次回もぜひお読みくださいね。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

次回の記事→「第2回 〜記述問題の虜にさせる」

コメント

タイトルとURLをコピーしました